【花粉症対策】舌下免疫療法とはどんな治療?スギ花粉症やダニアレルギーに悩むあなたにおすすめ
スギ花粉・ダニアレルギーに効果的な舌下免疫療法とは
舌下免疫療法とは、スギ花粉症やダニによるアレルギー性鼻炎を持つ人向けのアレルゲン免疫療法の1つです。この治療では、アレルギーの原因となる物質(スギ花粉やダニ)を少しずつ体内に取り入れ、体を慣らしてアレルギー症状を軽減します。
アレルゲン免疫療法(減感作療法)には、舌下免疫療法(SLIT)と皮下免疫療法(SCIT)という2種類があります。舌下免疫療法は舌の下からアレルゲンを投与する方法で、皮下免疫療法では皮下に注射で投与する方法です。
舌下免疫療法は、注射が不要で副作用が少なく、自宅で行えるため手軽に治療を始められます。従来は皮下免疫療法が主流でしたが、舌下免疫療法が可能になってからはこちらが主流に移り変わっています。
この治療は、一時的に症状を抑える治療ではなく、根本的な体質改善やアレルギー薬の使用量の減少による生活の質の向上が期待できる治療です。治療後も効果が長く続き、将来の喘息発症やアレルギー性鼻炎の悪化、新たなアレルギー反応の発症を抑えることが期待できます。
ミティキュアを用いたダニアレルギーの治療はいつでも始められますが、シダキュアを用いたスギ花粉症の治療は6月〜12月に開始する必要があります。花粉が飛ぶ時期に治療を始めると副作用が増える可能性があるためです。
舌下免疫療法の治療方法・期間
舌下免疫療法は、1日1回錠剤を舌の下に置いて1分間そのままにし、その後5分間はうがいや飲食を避ける治療法です。副作用を防ぐため、激しい運動、アルコール摂取、入浴は服用前後2時間は避けてください。
はじめての服用はクリニックで行い、投与後30分間様子を見てから医師の診察を受けます。2日目以降は自宅など好きな場所で、ライフスタイルに合わせて治療を続けます。慣れたらアレルゲンの量を増やし、3〜5年間治療を継続するのです。
治療のスケジュールは以下の通りです:
- 初回投与
- 1週間後:来院して副作用チェックし、増量
- 1週間後:再診察
- 2週間後:診察
- その後は基本的に4週間おきに通院
もし仕事や学業で4週おきに通院が難しい場合、当院ではオンライン診療が利用できます。
ただし、3か月に1回は対面での診察をお願いしております。
舌下免疫療法をおすすめできる人
舌下免疫療法は、特に以下のような状況の方におすすめできます。
- 根本的な治療をお望みの方
- スギ花粉症やダニアレルギーの症状を軽くしたい方
- 薬を使っても症状が辛い方
- 副作用等で薬を使えないまたは苦手な方
- アレルギーの薬を減らしたい方
- 仕事や学業(受験を控えている)に影響がでている方
- アレルギー症状を悪化させたくない方
- 喘息があるお子さんでアレルギーがある方
- 手術治療に抵抗のあったり効果が得られなかった方
アレルギーがあっても舌下免疫療法を受けられない人
舌下免疫療法を受けられない方は下記のような方です。
- 対象のアレルギー(スギ花粉、ダニ)ではない方
- 1分間舌下に薬を保持できない方
- 重い気管支喘息の方
- 舌下免疫療法でショックを起こしたことのある方
また、治療をするにあたって注意が必要な方もいます。下記のような方は、治療が受けられるかを医者に相談することから始めましょう。
- 5歳未満、65歳以上の方
- 悪性腫瘍(がん)や免疫系の病気がある方
- 気管支喘息がある方
- 舌下免疫療法でアレルギー症状を起こしたことのある方
- 特定のお薬(非選択的β遮断薬、酸関係抗うつ薬、モノアミンオキシターゼ阻害薬)を服用している方
- 重い心臓病、肺の病気、高血圧がある方
- 妊娠中、授乳中の方
舌下免疫療法を受けるメリットとデメリット
舌下免疫療法には、症状緩和や体質改善が期待できるメリットが多くありますが、デメリットも存在します。以下に、舌下免疫療法のメリットとデメリットをそれぞれ紹介しますので、ご自身もしくはお子さんのライフスタイルや今後を見据えて治療の判断をしてください。
舌下免疫療法のメリット
舌下免疫療法は、以下のようなメリットがあります。これらを考慮し、治療の適用を判断してください。
- 高い治療効果(臨床試験では80%に効果あり)
- 安全性が高く、重い副作用は非常に稀
- 場所や時間を自分で調整して治療ができる
- 比較的リーズナブルな治療(費用は後述)
- 将来的なアレルギー性鼻炎や喘息の症状を和らげる可能性
- 早い方で3か月後くらいから、多くの人が1年後には治療効果を感じる
舌下免疫療法のデメリット
一方で、舌下免疫療法には以下のようなデメリットもあります。これらを踏まえて、治療の選択を慎重に検討してください。
- 効果があるかは治療開始前にわからない
- 初期に軽い副作用が多い可能性がある
- 毎日薬を服用する必要がある
- 治療期間は長期間(3~5年)
- 注射による皮下免疫療法と比べて治療効果がやや劣る
副作用のリスクとその症状
舌下免疫療法では、副作用が発生する可能性がありますが、ほとんどが一時的な症状です。特に服用開始1ヶ月以内に副作用が出やすく、服用後30分以内に現れることが多いです。スギ花粉の飛散時期やダニが多い環境では、副作用が強く出やすいため注意が必要です。
シダキュア(スギ花粉)で30-40%、ミティキュア(ダニ)で60-70%の副作用が見られると言われており、ダニアレルギーの場合は高確率で一時的な副作用が現れます。アナフィラキシーは皮下免疫療法では起こる可能性がありますが、舌下免疫療法ではほとんど症例がないとされています。
副作用としては、以下のような症状が認められます。
- 口の中の腫れ、かゆみ、不快感
- 喉の刺激感、かゆみ、不快感
- 唇の腫れ
- 耳のかゆみ
治療費用の目安
初回費用は初診料を含め、3割負担の場合で約5,000円です。治療を開始した後は、毎月の再診で薬代を含めて約3,000円がかかります。
スギ花粉・ダニアレルギーで悩む方は舌下免疫療法を検討しよう
スギ花粉症やダニアレルギーで苦しんでいる方や、根本治療を求めている方には、舌下免疫療法が効果的で安全な治療法としておすすめです。当院では、仕事や学業が忙しい方にもオンライン診療を利用して継続しやすい環境を提供しています。
まずは、お近くの医療機関で相談してみましょう。下記のサイトで、舌下免疫療法を実施しているクリニックを検索できます。