睡眠時無呼吸症候群とは?症状や治療・検査方法を徹底解説!いびきの根本解決へ

睡眠中に繰り返し呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」は、いびきや日中の強い眠気、高血圧など健康に深刻な影響を及ぼす可能性がある病気です。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状や原因、診断方法、治療方法について詳しく解説します。
気になる症状がある方は、ぜひご覧ください。

目次

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とはこんな病気

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは寝ている間に呼吸が何度も止まってしまう疾患です。睡眠中に呼吸が止まる、浅くなることで体が低酸素状態となり、十分な休息が取れません。その結果、日中に強い眠気や疲労感を引き起こし社会活動にも影響を及ぼします。

睡眠時無呼吸症候群について詳しく知りたいかたは、院長の山中が解説している以下の動画もぜひご覧ください。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、大きないびきや睡眠時に呼吸が止まることで睡眠の質が低下します。そのため、睡眠中に十分な休息がとれていないことで日中に眠気を感じたり集中力が低下したりします。

初期症状とは

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の初期症状は、睡眠時に呼吸が止まっている、いびきが大きいと指摘されることです。その他にも睡眠が十分に取れていないことに起因する症状が現れます。具体的には、寝ているときに何度も目が覚める、朝起きた時にだるさや頭痛を感じる、日中に強い眠気を感じる、集中力が低下する、などです。

重症度のチェック方法

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重症度は「睡眠1時間に無呼吸と低呼吸になった回数」で調べることができます。5~15回は軽症、15~30回未満で中等症、30回以上だと重症となります。これは就寝時に機械を付けて確認します。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は死亡につながることもある

睡眠時無呼吸症候群(SAS)では寝ている間に呼吸が止まることで血液中の酸素濃度が低下してしまいます。血液中の酸素濃度が下がると心臓、脳、血管に負担がかかります。その結果、脳卒中、狭心症、心筋梗塞、高血圧、糖尿病などの命にかかわるような合併症のリスクも高まるのです

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、
・閉塞性睡眠時無呼吸症候群(O-SAS)
・中枢性睡眠時無呼吸症候群(C-SAS)

の2種類があります。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(O-SAS)

この症状が睡眠時無呼吸症候群(SAS)の大部分を占めます
閉塞性は空気の通り道が狭くなることで、無呼吸になる病気です。空気の通り道の中でも、喉の部分が狭くなることが多い症状です。

喉の部分が狭くなる主な原因は肥満による喉周りの脂肪です。しかし、顎が小さい、舌が大きい、扁桃が大きいといった生まれつきの身体的特徴や慢性的な鼻炎など耳鼻科領域の病気が原因となることもあります。

中枢性無呼吸症候群(C-SAS)

中枢性無呼吸症候群は、大部分が何らかの体の病気がある方です。

脳幹と呼ばれる中枢が、呼吸に関係する筋肉に対して正しく機能するように信号を出していない状態です。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断・検査方法

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断では、患者さんの眠気の程度や合併症、喉や顎の状態を確認し、総合的に判断します。そのためには、患者さんに問診票の質問に答えて頂いたり、夜寝るときに機械をつけてもらったりと協力が必要となります。

日中の眠気の程度

問診票で日中の眠気の程度を確認することから始めます。問診票とはESS(エプワース眠気尺度)という簡単な質問に答えていただくチェックリストで、眠気の程度を点数で表します。点数によって睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があるか確認します。

睡眠障害がないかチェック

睡眠障害がないかの確認は、就寝時に機械を装着して行います。検査には簡易検査と精密検査の2種類があります。

簡易検査では指や鼻に機械を装着して、血液中の酸素の濃度などを確認します。精密検査では、脳波などを含めてより多くの項目の検査をします。

喉の奥や顎の形に異常がないかチェック

顎が極端に小さい人や喉の奥の扁桃腺が腫れている人は喉のスペースが狭くなり、空気の通り道がふさがりやすくなります。空気の通り道がふさがると、いびきや無呼吸が起きる可能性があるため、喉の奥や顎の形に異常がないか確認も行います。

高血圧などの合併症の検査

睡眠時無呼吸症候群(SAS)には心疾患、脳血管障害、高血圧、糖尿病、高脂血症などの合併症があります。
医師が必要と判断した場合には、これらの疾患の検査も行うこともあるでしょう。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療方法

病院で行う主な治療法としては、マウスピースやCPAP、ナステントを使用したものがあります。

マウスピース治療

症状が軽い人が対象に実施する就寝時専用のマウスピースをつける治療法です。下あごを前に移動させ、舌が喉の奥に落ちるのを防ぐことで空気の通り道を確保します。マウスピースは小さいため持ち運びがしやすく、保険適応内で実施ができるというメリットがあります。

※マウスピースは歯科で作成いただきます。

CPAP治療(保険適用)

CPAP(Continuous Positive Airway Pressure:持続陽圧呼吸 シーパップ)療法は、中等~重症の睡眠時無呼吸症候群の治療として広く実施されています。具体的には、鼻にマスクを装着し専用の機械を使用して、肺へ空気を送り込む方法です。

空気の圧力によって肺への空気の流れがスムーズになり、呼吸が止まることがなくなります
※鼻のマスクだけではうまくいかない場合、口と鼻を一緒に覆うマスクを使うこともあります。

CPAP療法をはじめるために1泊2日程度の入院が必要になることがあります。また、その後も機械の確認や体調を見るために月1回程度通院が必要です。

ナステント(保険適用外)

非常に柔らかいチューブを鼻から入れて、喉まで通すことで気道が狭くなることを防ぐ治療法です。空気が通る道を確保することで呼吸が止まることを防ぎます。ただし、保険適応ではないため、治療費はすべて自己負担です。

>>【いびき防止に】ナステントの効果や特徴・おすすめできる人まで解説!痛いと感じる人は意外と少ない?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)のセルフケア

治療では病院での診察だけでなく、日常生活の中で取り組める治療法もあります。
ここからは、自分でできる対処法を中心に、生活習慣の見直しや自宅でできる簡単な改善方法をご紹介します。

横向きの睡眠姿勢

仰向けで寝ると舌が喉の奥に落ち込みやすく、気道が狭くなることで無呼吸を引き起こすことがあります。
横向きに寝るようにするだけで、気道が確保され、無呼吸の発生を減らすことができます。

適切な枕の使用

高すぎる枕や平らな枕は気道を圧迫しやすく、無呼吸を引き起こす原因となります。
自分に合った高さと硬さの枕を選び、首の位置が適切に保たれるように調整することで、呼吸がスムーズになります

体重管理と適度な運動

肥満は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の大きな原因の一つです。

特に首周りの脂肪が気道を圧迫し、呼吸を妨げます。適度な運動を取り入れ、バランスの良い食事を心がけることで体重を減らし、症状の改善が期待できます。ウォーキングや軽いジョギングなど、続けやすい運動から始めましょう。

飲酒と喫煙の制限

飲酒は喉の筋肉を弛緩させ、無呼吸を悪化させることがあります。寝る前の飲酒や量を控えましょう。

鼻呼吸の習慣

口呼吸は気道が狭くなりやすく、無呼吸の原因となることがあります。日常的に鼻呼吸を意識し、鼻の通りを良くするトレーニングを行うと改善が見込めます。

いびきがひどい時は何科を受診すべき?

いびきがひどい時、基本的には耳鼻咽喉科をまず受診しましょう。いびきが起こる原因は、上気道(鼻やのど、気管の入り口までの空気の通り道)のどこかが狭くなっていることです。この上気道は耳鼻咽喉科が取り扱っている部分です。

いびきや睡眠不足が気になる方は睡眠時無呼吸症候群(SAS)のチェックを!

いびきが気になる方や、日中に異常な眠気を感じる方は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。睡眠時無呼吸症候群は睡眠不足による疲労やストレスだけではなく、心疾患、脳血管疾患などの重篤な合併症のリスクも高まるため、早期の対策が重要です。症状に思い当たる方は、早めに耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。

記事を読んで不明点や個人的な質問があれば、江東区 東大島駅徒歩1分 よし耳鼻咽喉科までお気軽にご連絡ください。

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この記事の監修者

山中 弘明のアバター 山中 弘明 よし耳鼻咽喉科 院長

【経歴】
・東京医科大学医学部 卒業
・東京医科大学八王子医療センター 初期研修修了
・日本大学板橋病院 勤務
・日本大学病院 勤務
・都立広尾病院 勤務
・よし耳鼻咽喉科 承継

【資格】
・日本耳鼻咽喉科学会専門医
・身体障害者福祉法 第15条 指定医
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 補聴器相談医

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