【若者に急増中】イヤホンのせいで耳は悪くなる!防ぐためにできることも詳しくご紹介

世界的に10〜30代の若い世代の耳が悪くなっているのをご存じでしょうか。若者の聴力低下の主な原因は、イヤホンやヘッドホンの不適切な使用です。ヘッドホン・イヤホン難聴と呼ばれる若者の難聴は、気付いた時には深刻な状態で、治らないケースがある恐ろしい病気です。

この記事では、イヤホンによって耳が悪くなる理由と、聴力を保つための適切なイヤホンの使い方について紹介します。

目次

イヤホンを使うことで耳が悪くなることはある

イヤホンやヘッドホンの使用で耳が悪くなる病気を「ヘッドホン・イヤホン難聴」と言います。正式な病名は「音響性聴覚障害(音響外傷)」や「騒音性難聴」と呼ばれ、「聴覚障害」に分類されます。

ヘッドホン・イヤホン難聴の主な原因は、イヤホンやヘッドホンの長時間および大音量での使用です。ヘッドホン・イヤホン難聴は突然聞こえなくなる病気ではなく、少しずつ聴力が落ちていく病気のため、日常生活で気付きにくいのが特徴です。

ヘッドホン・イヤホン難聴のセルフチェック方法については、以下の記事を参考にしてください。

>>【セルフチェック】ヘッドホン難聴・イヤホン難聴は治らない?原因や症状も解説!

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世界中の約11億人がイヤホンやヘッドホンにより耳が悪くなっている

世界保健機関(WHO)によれば、12歳から35歳のうち11億人以上の人に、聴力の低下あるいは失聴の危険性があると指摘しています。2050年には、 25 億人近くの人がある程度の難聴になると予測され、難聴は世界的に深刻な問題です。

こうした聴覚障害の原因は、イヤホンやヘッドホンの大音量かつ長時間の使用が習慣化したためと考えられています。騒音性難聴は避けられる難聴として、WHOは難聴のリスクを低減するための国際基準を定め、注意を促しています。

イヤホンによって耳が悪くなる理由

イヤホンにより聴力が低下する理由は、大きな音が「音」を感知する細胞を破壊するためです。耳に入った音はまず、内耳の蝸牛(かぎゅう)にある「有毛細胞」と呼ばれる音の振動を感知する細胞に届きます。有毛細胞は音の振動を電気信号に変換し、脳に伝えることで人は音を認識します。有毛細胞は85dB以上の音に晒され続けると、損傷を受け最終的には破壊されるのです。

一度破壊された有毛細胞は再生しません。イヤホンによって徐々に細胞が破壊され、耳が悪くなったと感じたときにはすでに直せない状態というケースもあります。

耳が悪くならないために気を付けるポイント

イヤホンやヘッドホンは便利ですが、誤った使い方を続けると、耳を悪くする原因になります。聴力を維持するために、イヤホンの使用時に気を付けるポイントは以下の3つです。

  • イヤホンを使うときは80dBで週に40時間まで
  • ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンを選ぶ
  • 耳を休ませる時間を作る

一度失った聴力は戻りません。適切なイヤホンの使用方法を知って、耳が悪くならないよう注意しましょう。

イヤホンを使うときは80dBで週に40時間まで

イヤホンやヘッドホンは直接耳に音を届けるため、適切な音量で使用する必要があります。

WHOが推奨する聴力低下を防ぐためのイヤホンの音量・使用時間は以下の通りです。

  • 大人の場合:80dBで週に40時間まで
  • 子どもの場合:75dBで週に40時間まで

スマートフォン等のデバイスで出力できる最大音量は、100-120dBが標準です。上記WHOの推奨音量を守る場合は、デバイス音量は60%までを目安にしましょう。

70dB以上の音を人は「うるさい」と感じます。身近な音量では、救急車のサイレン音が80dB、電車が通るガード下の音量が100dBです。

安全とされる音量ごとのばく露時間は、音楽プレイヤーなどの最大音量が105dBで4分、至近距離で聞く大声は115dBで1分30秒と言われています。

聴力を維持したいのであれば、推奨値よりも小さい音量、短い時間での使用がより好ましいです。

ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンを選ぶ

イヤホンを使用する際、周囲の雑音が大きいと、イヤホンの音量も大きくなります。静かな場所で使用できない場合は、ノイズキャンセリング機能が付いたイヤホンが効果的です。周囲の音が耳に入りにくくなり、イヤホンの音量が小さくても、音楽や音声を十分に聞き取れます

耳を休ませる時間を作る

イヤホンやヘッドホンを付けない時間が長いほど、聴力維持に効果があります。使用する場合は長時間続けて使用せず、1時間に10分はイヤホンを外し、耳を休ませるように意識しましょう。イヤホンの音量は周囲の環境に合わせて大きくなりがちです。特に屋外で使用すると、気づいたら大音量で聞いていたというケースもあります。この場合は、1日のうちイヤホンを付けない時間帯を決めておくと、耳を休ませる習慣に繋がるでしょう。

ヘッドホン難聴は治りにくい

ヘッドホン・イヤホン難聴によって低下した聴力の回復は難しいです。ヘッドホン・イヤホン難聴を含む騒音性難聴は、音を認識して脳に届ける有毛細胞が破壊されて発症する難聴です。有毛細胞は再生しないため、騒音性難聴になったら、それ以上聴力を落とさないよう予防するしかありません。ヘッドホン・イヤホン難聴はゆっくりと進行し気付きにくいため、音量と長時間使用には十分注意しましょう。

耳が悪くなったと感じるときは耳鼻咽頭科へ

若者に急増する聴力低下は、長時間にわたって大音量でイヤホンやヘッドホンを使用することが主な原因です。最も恐ろしいのは、ヘッドホン・イヤホン難聴によって一度落ちた聴力は取り戻せないことです。イヤホンやヘッドホンで耳を悪くしないために、使用する際は、音量と使用時間・ノイズキャンセリング機能・耳を休ませることを意識しましょう。日常の中で少しでも聞こえが悪いと感じたら、お早めに耳鼻咽頭科に相談してください

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この記事の監修者

山中 弘明のアバター 山中 弘明 よし耳鼻咽喉科 院長

【経歴】
・東京医科大学医学部 卒業
・東京医科大学八王子医療センター 初期研修修了
・日本大学板橋病院 勤務
・日本大学病院 勤務
・都立広尾病院 勤務
・よし耳鼻咽喉科 承継

【資格】
・日本耳鼻咽喉科学会専門医
・身体障害者福祉法 第15条 指定医
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 補聴器相談医

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